円柱さしは何歳から?モンテッソーリの感覚教具の使い方をマスターしよう
円柱さしは、モンテッソーリ教育において重要な役割を果たす感覚教具。
モンテッソーリ教育の一環として、子どもたちの多面的な成長を促すために設計されています。
形やサイズを識別するだけでなく、手先を使うことで運動能力も向上! さらに、正確な観察力や集中力も養われます。
一つの遊びで色々な要素の経験を得られるのが円柱さしの魅力です!
今回、おもちゃサブスク「トイサブ!」で円柱さしをレンタルしてじっくり使ってみました。
円柱さしの目的や使い方、そしてその効果について詳しく説明し、この教具の魅力をしっかりとお伝えします。
モンテッソーリ教具「円柱さし」
円柱さしは、モンテッソーリ教育における感覚教育で使われる視覚教具の一種。
ここではモンテッソーリ教育と感覚教育、円柱さしについてそれぞれ解説していきます。
モンテッソーリ教育とは
モンテッソーリ教育とは、医師であり教育家であったマリア・モンテッソーリ博士が考案した教育法。
この教育法は、子どもが自然に持っている「自分で学ぶ力」を尊重し、その力を最大限に引き出すことを目的としています。
自分で興味を持ったことに取り組み、自分で考え、行動できるようになることで、真に自立した人間を目指すのです。
特徴は、大人が子どもに直接教えるのではなく、子どもの成長と発達をよく観察し、そのニーズに合わせて環境を整えること。
モンテッソーリ教育ではよく「○○の敏感期」ってことばが出てくるよね。これも関係あるんでしょ~?
そうそう、敏感期は、要するに子どもが特定の分野に興味を持つ時期のこと! この時期にうまく興味と行動を引き出してあげられる環境を整えてあげるのが重要なんだそうですよ。
感覚教育とは
モンテッソーリ教育における「感覚教育(Sensorial Education)」は、子どもが自分の感覚器官を通じてものごとを理解する力を高めるための教育プログラムです。
視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚など、さまざまな感覚を総合的に使って学習します。
感覚教育には特定の教具が用いられ、それぞれが特定の感覚やそれに関する動作などの発達を促すんです。
例えば、有名な「ピンクタワー」は視覚と触覚を、「雑音筒」は聴覚を、「色板」は色彩識別能力を訓練します。
いろんなのがあって、みんな面白いよ~。
※モンテッソーリ教育の5分野(感覚教育・知的教育・言語教育・算数教育・文化教育)については別記事で取り上げます。
円柱さしとは
円柱さしもモンテッソーリ教育の一環で使われる教具。
この教具は、高さや太さが異なる円柱を視覚や触覚で判断し、それに適した穴に収める活動を通じて、形やサイズを識別する能力を高めます。
またじっくり取り組むので、観察力や判断力を鍛えるだけでなく、注意力や集中力も向上させます。
これらの力の発達は、モンテッソーリ教育が目指す「主体的で活動的、知性と感性が豊かな」子どもを育てる上で非常に重要!
英語でこの教具を指すときは「cylinder blocks」「knobbed cylinders(ノブつきシリンダー)」などと言いますよ。
円柱さしは何歳から?対象年齢
日本モンテッソーリ教育綜合研究所によると、円柱さしのような感覚教具は、2歳半から始めることが推奨されています。
実際には子どもが日常生活や園の環境に慣れるのを待って、3歳頃から開始することが一般的。
これは、日常のルーチンや園の生活に適応することが、感覚教育をスムーズに進めるための良い土台となるからです。
習慣の中に取り入れていくことが大事ってことですね。
したがって、円柱さしは3歳から6歳くらいまでの子どもが対象年齢です。
この年齢層は、視覚的識別と細かい運動能力の敏感期と一致しているころ。
そのため、子どもたちは感覚と協調を洗練する活動をすんなり受け入れてくれるんです。
円柱さしの基本的な構成
円柱さしは木製のセットで、4つの組があります。
それぞれの組ごとに特定の特徴があって、これを元にさしこむ位置を考えられるようになっています。
入れるところを見つけるヒントになっているんだね~。
この特徴について、順に解説していきますね。
写真では、ハーフサイズ(円柱が半分の数)の円柱さしを使っています。本来は10本ですがとても高価なため、目的は同じで使いやすいハーフサイズを選びました。
おもちゃサブスク「トイサブ!」でレンタル可能です。
円柱さし1:高さと太さが減少
高さと太さが同時に減少する組。
体積の変化を体感できるのがポイントです。
円柱さし2:高さが一定で太さが減少
高さが一定で、太さが変化する組。
上から見ても横から見ても、一目でサイズ感がわかりやすいので難易度は低めです。
円柱さし3:高さが増え太さが減少
太さが減り、高さが増える組。
こちらも1と同様に体積の変化を体感できます。
円柱さし4:高さが減少し太さが一定
高さが変化し、太さが一定となる組です。
はめ込んだときに上にはみ出したり奥まで行き過ぎたりするので、ちょっと難易度があがります。
このように、円柱さしを使うことで面積や長さ、体積の変化を体験できます。
円柱さしの使い方:ステップバイステップ
ここでは、円柱さしの使い方を解説します。
モンテッソーリ教育の国際的な協会である「モンテッソーリ協会国際連合(AMI)」の公式ウェブサイトの情報も参考にしました。
なお、最初に取り組むのは円柱さし1がおすすめ。円柱の高さが一定で、太さが減少していくタイプです。
はじめる前に、親指、人差し指、中指の3本でつまむところ、穴に入れるところをよく見せてあげてください。
- 円柱に合う穴を見つける
- 穴にあう円柱を見つける
- 端から順番に穴に合う円柱を見つける
- 複数の円柱さしを同時に使う
- 同サイズの円柱を見つける
- 台を使わず円柱を並べる
- 任意の円柱を抜き出しどこが抜けたか見つける
円柱に合う穴を見つける
以下の手順で行いましょう。
- 円柱をすべて台から取り出します。
- 円柱を混ぜ、台の横に置きます。
- 一つずつ円柱を取り出し、合う穴を探します。
- 正しい穴が見つかったら、円柱をその穴に入れます。
- 正しく入れられたか自分で確認し、全ての円柱が正しい穴に入るまで繰り返します。
穴に合う円柱を見つける
以下の手順で行いましょう。
- 円柱をすべて台から取り出します。
- 円柱を混ぜ、台の横に置きます。
- 任意の穴を選びます。
- 選んだ穴に合う円柱を探し、入れます。
端から順番に穴に合う円柱を見つける
以下の手順で行いましょう。
- 円柱をすべて台から取り出します。
- 円柱を混ぜ、台の横に置きます。
- 端から順番に合う円柱を探し、入れます。
複数の円柱さしを同時に使う
先に紹介した使い方を1台でできるようになったら、2台以上を組み合わせて行います。
2台で使う場合の置き方
3台で使う場合の置き方
4台で使う場合の置き方
同サイズの円柱を見つける
以下の手順で行いましょう。
- 4つの台から円柱をすべて取り出します。
- 同じ高さと太さの円柱を見つけてペアにします。
台を使わず円柱を並べる
以下の手順で行いましょう。
- 円柱をすべて台から取り出します。
- 円柱をランダムに混ぜます。
- 大きさ順に並べ直します。
任意の円柱を抜き出しどこが抜けたか見つける
以下の手順で行いましょう。
- 大きさ順に並べた円柱から1つを取り出します。
- どの円柱が欠けているかを見つけます。
このようにして、各ステップで観察力と認識力を鍛えることができます。
いろいろなあそび方があるんだね~!
円柱さしのねらいと効果
円柱さしのねらいと具体的な効果について解説します。
形やサイズの認識から問題解決能力、さらには集中力アップまで、どのように子どもの成長を促すのかを見ていきましょう。
どんな効果があるのか、気になりますよね!
手先の器用さの向上
円柱さしは、子どもが手先を使って円柱を正確な穴にはめる活動。
この繊細な動作は、手先の器用さと協調性を高めます。
特に、3本指で円柱をつかむ動作は、お箸や鉛筆を持つ際の基礎力を育む重要な過程になるんですよ。
算数教育につながる
円柱さしは、子どもに量の変化を自然に理解させるのにぴったり。
例えば、円柱さし1では、高さが一定で太さが変わる円柱を使って、面積(2次元)の変化を体感します。
目で見てわかる数値以前の体験ができるので、理解が早まると言われています。
これが、その後の算数教育において役立っていくんですよ。
言葉の意味を理解する
「太い」「高い」といった形容詞の意味を、実際の物体を通じて理解することができます。
円柱さしには高さや太さが異なる円柱があり、それらを適切な穴にはめる活動を通じて、これらの形容詞が何を意味するのかを学びます。
このような具体的な経験はモンテッソーリ教育で大切にしていること。言葉の意味を明確に理解する基礎を作ります。
自ら誤りに気づく
円柱さしは、各円柱がぴったりと収まる穴が一つだけ存在するように設計されています。
この設計は、子どもが間違った穴に円柱を入れた場合に自らその誤りに気づくチャンスをくれるんですよ。
この自己修正の過程が非常に重要!
モンテッソーリ教育では、子どもたちが自分で興味を持ったことに取り組み、自分で考え、行動できることが重要視されます。この教育方針に合うように、円柱さしは目で見て誤りを認識できる設計になっているんですね。
このようにして、子どもは試行錯誤を繰り返しながら問題解決する力を身につけていきます。
この力が、将来的に自立心や自信を育む基礎ともなるんです。
円柱さしのおすすめ商品・ショップ
円柱さしを購入する際には、品質や価格、信頼性が大切!
ですが、どの商品を選ぶべきか、どのショップで購入すればよいのか迷う方も多いですよね。
無許可の転売業者やノーブランド品もあるしね……。
ブランド名の英語が読めない中華メーカーのものは買わない方がいいです。
ここでは、おすすめの円柱さし商品と信頼できるショップをご紹介します。
1、2、3、4の4組が一般的ですが、初めての場合は「円柱さし2(高さが一定で太さが減少)」から始めることが多いです。
Nienhuis(ニーホイス)社製
ニーホイスは、オランダのモンテッソーリ教育用の教具と資材を製造・販売する会社です。
その高品質な教具で国際的にも高い評価を受けており、多くのモンテッソーリ学校や教育機関で使用されているほど。
高品質なのは間違いないですが、個人で購入するとなるとかなり高価なのがデメリットといえるかも。
国内で購入する場合、学研モールから購入することができます。ちなみに、ほかのニーホイス社製のモンテッソーリ教具も取り扱っていますよ。
>>モンテッソーリ教具感覚教育に該当する商品の通販|学研の保育用品
MONTE Kids社製
モンテッソーリ教具でも比較的手に入れやすい価格なのが「MONTE Kids」。2つのブランドがあります。
- 【Natural MONTESSORI】=スクール用に国際モンテッソーリ純正規格の本格教具を受注生産(安全基準:CE、EN71、ASTM)
- 【MONTE Kids】=家庭用、ミニサイズでリーズナブルな教具アリ(安全基準:CE、EN71、ASTM)
円柱さしはMONTE Kidsブランドで10本と5本のものがあります。
家庭用であれば、5本のものをおすすめされているようです。(※現在在庫切れ)
トイサブ!でレンタル
購入ではありませんが、おもちゃサブスクサービス「トイサブ!」でも円柱さしはレンタル可能。
敏感期は短い期間なので、その期間に適した教具やおもちゃを用意することが重要です。
そのため、おもちゃサブスク(トイサブ!など)で円柱さしを借りるのも選択肢として有用かなと思います。
トイサブ!では、私が借りた5本の円柱さしのほか、乳児向けではありますが、国際モンテッソーリ協会認定(AMI)ブランドの円柱さしもあります。
もちろん多くのサブスクでは本格的なモンテッソーリ教具はレンタルできません(モンテッソーリ教具がレンタルできるサブスクはこちらの記事で紹介)。
が、一時的に必要なおもちゃを手軽に利用でき、子どもが成長したときには別のおもちゃに変更することができるので、モンテッソーリ教育の目的「環境を整えて子どもが自ら学ぶ機会を用意する」にすごく合っているんですよね。
「モンテッソーリ教具と同じ使い方ができるおもちゃを借りたいんですけど……」といった相談も可能ですよ。
お値段的な部分もリーズナブルにできるので、ぜひチェックしてみてください。
円柱さしのよくある質問(FAQ)
円柱さしのよくある質問をまとめました。
円柱さしのまとめと次のステップ
円柱さしはモンテッソーリ教育において重要な役割を果たす感覚教具。
使うことで、形やサイズ、高さといった基本的な概念を理解し、さらには手先の器用さや問題解決能力も高まるという良いことだらけのおもちゃです。
図形の考え方から指先の器用さまで、これだけでカバーできちゃうのがすごく嬉しい!
円柱さしに慣れたら、次に挑戦するべきは「ピンクタワー」や「色板」など他の感覚教具です。
ピンクタワーは大きさや高さ、バランス感覚を養い、色板は色彩感覚を高め、色と形の識別能力を向上させます。
円柱さしと同様に多角的な成長を支えてくれるので、ぜひチェックしてみてくださいね。
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