100玉そろばんの使い方13選!初心者もできるそろばんの先生直伝の効果的な進め方
100玉そろばんは、幼児向けの知育玩具としてとても人気。
その特徴は、目に見えない「数」という抽象的な概念を具体物として視覚化できる点にあります。それによって、小さい子でも数の仕組みを直感的に理解しやすくなるんです。
でも、「100玉そろばんを購入したものの、どう使えば良いのか分からない……」「どのように遊びながら学びに繋げればいいの?」といった悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、娘が通う幼稚園のそろばんの先生に伺った100玉そろばんの使い方をご紹介。我が家独自の取り組みで効果的だったものも載せています。
100玉そろばんのおかげで、けいさんが得意になったよ~。
0歳から6歳までの年齢に応じた活用法を具体的に解説していきますので、ぜひおうちでの学びの参考にしてみてくださいね。
▼100玉そろばんおすすめ品・選び方5つのポイントを解説した記事もあわせてご覧ください。
100玉そろばんの使い方13選:年齢に応じて進めよう
この章では、100玉そろばんの基本的な使い方から、より高度な数の概念を学ぶための活用方法まで、年齢に応じた遊び方を幅広くご紹介します。
年齢に合った遊びを段階的に進めることが、100玉そろばんの効果的な使い方になります。
0・1歳ごろ~|五感を刺激する初めての100玉そろばん体験
100玉そろばんとの出会いは、赤ちゃんにとってカラフルな玉との楽しい遊びの始まりです。
まだ数を意識しなくても大丈夫。まずは、五感を刺激して、数の概念の土台作りを始めましょう。
指で玉を動かしたり、ジャラジャラと音を楽しんだりする中で、自然と視覚・聴覚・触覚を刺激していくことが大切です。
写真は娘が1歳のときですが、ジャラジャラと好きなように動かしてみています。
このころは、これだけでも楽しかったみたいだよね。
この段階では、数を「思い出させる」ことが目的ではありません。
そろばんを音や動きのあるおもちゃとして扱い、「なんだか楽しいもの」という感覚を育んであげましょう。聞いたりする中で、自然と好奇心が芽生えます。
ちなみに、本体を横に倒し、「上に上げた玉をポトポト落とすのを見せてあげると、赤ちゃんも楽しいよ~。」と娘が言っておりました!
1歳ごろ~|数唱しながら玉を動かす
お子さんが興味を持って触るようになったら、大人が手を添えて簡単な使い方を見せてあげましょう。
- すべての玉を右側に寄せます。
- 10まで数えながら「1、2、3……」と1つずつ玉を左側に移動させます。
この際、数唱(数を一つずつ声に出して言うこと)と玉の動きをリンクさせることで、数(数詞)と数量(玉の数)の関係を感覚的に理解する助けになります。
指でそろばんの玉を動かす動作は、指先の発達を促す良いトレーニングにもなります。細かな動きを楽しむことで、手先の器用さや集中力も養われていきますよ。
1から順番に数える「順唱」に慣れてきたら、次は「逆唱」(10から0、20から0といった具合に逆に数える)に挑戦してみましょう。数をさまざまな順序で唱えることで、数の並び方や構造への理解が深まります。
ちなみに、フラッシュカード(ドッツカード)のように数を高速で見せたり数唱することで、右脳に働きかける効果があるとも言われています(効果のほどには議論がありますが)。
数を見せるテンポを速めてみると良いかもしれません。
2歳ごろ~|1つずつ数える(計数)
大人が100玉そろばんを使って数を数えて見せている場面で、お子さんから「やりたい!」という雰囲気を感じたり、実際に手を伸ばしてくることがあるでしょう。このタイミングは、数える力を育む絶好のチャンス!
そうなったら、100玉そろばんの玉を1つずつ動かしながら数を数える「計数」の練習です。
計数は、1つのものに1つの数詞をあてはめて数える「1対1対応」の基礎。自分で玉を動かすことで、数の概念がしっかりと身についていきます。
ちなみに、1つずつ数えることは日常生活の中でも様々な場面で活かすことができますね。
例えば、おやつを配る時や、おもちゃを数える時などなど。遊びの中でも自然と数を数える機会を作りましょう。
3歳ごろ~|多い・少ないの比較
ゲーム感覚で子どもがやりたがる使い方!
3歳ごろには、100玉そろばんを使って「多い・少ない」の感覚を育む遊びを取り入れてみましょう。この時期は、数量の違いを視覚的に理解する良いタイミングです。
まだ、どちらが“いくつ”多いかは聞きません。
- 1段の10個の玉を左右に分けてみましょう。
- お子さんに「どっちが多いかな?」と尋ねてみてください。
「多い・少ない」の概念や、「このくらいでこの量」を直感的に学ぶことができます。
3・4歳ごろ~|数をかたまりで動かす
3~4歳ごろで指先を器用に使えるようになってきたら、100玉そろばんを使って「数をかたまりで動かす」練習を始めてみましょう。
2個ずつ、5個ずつ、10個ずつといった単位で玉を動かすことで、数のまとまりを視覚的に把握する力を育てます。以下のような動かし方を試してみてください。
- 2個ずつ:「2、4、6、8、10……」
- 5個ずつ:「5、10、15、20、25……」
- 10個ずつ:「10、20、30、40、50……」
2個ずつの例
数を声に出しながら大人が玉を動かして見せることで、お子さんが具体的なイメージを持ちながら数の増え方を学べるようになります。
「2ずつ」「5ずつ」「10ずつ」のように数が増えていく感覚を、自然に身につけられるよう繰り返し練習しましょう。
玉を見なくても反射的に「にー、しー、ろー……」と言えるようになるまでインプットを重ねることが重要です。
この練習は、「10が10個で100」「5が10個で50」「2が10個で20」といった、掛け算の概念に自然と繋がります。
九九を丸暗記するのではなく、具体的なイメージを持って「〇個ずつ増える」感覚を理解できる点が、この方法の大きなメリットです。
ちなみに、下の写真は見た目はちがいますが同じ20。縦と横のパターン織り交ぜると良いと思います。
応用:時計の読み方にも役立つ
特に「5ずつの数え方(5とび)」が身につくと、時計の読み方の練習にも役立ちます。
時計の文字盤上の「5分刻み」を自然と理解しやすくなりますよ。
実際の時計も5分刻みの目盛りが目立つようになっていますよね。
数をかたまりで捉えられるようになることで、掛け算や九九を理解する基礎が養われるだけでなく、日常生活での数の使い方にも活用できるので、ぜひやってみてほしいです。
4歳ごろ~|パターン(絵)作り
これは、下の子が4歳くらいから始めた遊びです。
100玉そろばんの玉で様々なパターンを作ります。ドット絵のように表現することで、遊びの幅が広がり、創造性を育むアクティビティとして活用できますよ。
パターンのアイディアとしては、こんなものがあります。上から順にやっていくのが簡単です。
- 最初は簡単な形(ハート、星、三角、四角など)を作る
- 玉の配置を工夫して、アルファベットや数字を描く
- キャラクターや動物、小物(家、木、車など)を描く
- 左右対称や放射状の模様を作り、視覚的な美しさを楽む
- 子ども自身が好きなものを自由に表現
▼これは、一旦真ん中に2つ寄せた後、リズム感を感じる模様に並べ替えていました。
注意深く玉を動かす必要があるので、かなり集中してやっていますよ。玉の位置関係を意識しながら作っていくのも、観察力や論理的思考がついているなと感じます。
こちらは上の子が5歳のときに作った「ウサギ」です。左の方にウサギの顔が見えますね!
「数を学ぶ道具」以上のクリエイティブなおもちゃとして楽しめるようになります!
5歳ごろ~|次の数を考える「次はいくつ?」
一定のパターンを作りながら次の数を当てる遊びです。
- すべての玉を右側に寄せます。
- 縦に順に1つ、2つ、3つ、1つ、2つ……と左側に動かしていきます。
- パターンが続く中で、「次は何個の玉を動かせばいいかな?」と問いかけ、お子さんに考えさせます。
この写真の場合だと、正解は「3」です。
この遊びを通じて、数のパターン認識力や、次の動きを予測する力を養うことができます。簡単なパターンからスタートし、少しずつ複雑なルールに発展させていくと、挑戦する楽しさも生まれますよ。
5歳ごろ~|瞬時に判断する遊び「今のはいくつ?」
玉が動いた場所とその数を瞬時に捉える遊び。目で情報を素早くキャッチし、集中力を高めるトレーニングになります。
- そろばんを倒して置き、すべての玉が下に落ちた状態にします。
- どこかの段の玉を指で数個弾いて上に上げて、お子さんに「いくつ動かした?」と瞬時に判断させます。
最初は少ない数で始め、慣れてきたら動かす玉の数を増やしたり、複数の段を同時に動かすなど、少しずつレベルアップさせていくと効果的ですよ。
少量の物を見た瞬間にその数を判断できたら便利ってこと、日常生活でもたくさんありますよね……!
お釣りの確認とかにも便利そう!
5歳ごろ~|あわせて10をつくる
数唱に慣れ、数をかたまりとして理解できるようになったら、次のステップとして「10をつくる」練習に取り組んでみましょう。
数の構成は、足し算や引き算の基礎となる、非常に重要な概念です。特に「10の構成」を理解することは、繰り上がりのある足し算や繰り下がりのある引き算を習得するうえで欠かせません。
この段階をしっかりと身につけることで、算数の基本的な計算にスムーズに取り組めるようになります。
- 100玉そろばんの1段目を「1と9」、2段目を「2と8」といった具合に、10をつくるペアとして階段状に並べてみましょう。
- 右側にまとめた玉を左側へ動かしながら、声に出して「1と9で10」「2と8で10」と読み上げます。
これを繰り返すことで、数と数が組み合わさって10になる感覚を自然に身につけることができます。
10を2つの数に分ける「分解」の練習もしてみましょう。例えば、
- 「3と7に分ける」
- 「5と5に分ける」
さらに、片方の玉を手で隠して「残りはいくつかな?」とお子さんに尋ねることで、思考力を鍛えることができます。
5歳ごろ~|10より大きい数のしくみを理解する
5歳ごろになると、「10より大きい数」を数えられたり、「全部でいくつか」を答えられたりすることが増えてきます。
ですが、それだけでは十分ではありません。「10といくつ」という数の構造を意識して捉えられるかどうかが、次のステップへの重要な鍵になります。
その点、100玉そろばんは「10」を1つのまとまりとして捉える感覚を育むのに最適!
ここでは、20までの数を「10といくつ」として理解する取り組みから始め、最終的に100までの数の構造を学べるよう進めていきます。
まずは、「10のまとまり」を意識させる数え方を実践してみましょう。以下のように、玉を動かしながら声に出して伝えます。
- 「10と1で11」
- 「10と2で12」
- 「10と10で20」
玉を1つずつ動かしながら、このように声に出して説明することで、お子さんは「10+○」という構造を自然に理解し始めます。
20までの数が理解できたら、さらに数を増やしてみましょう。
- 「20と1で21」
- 「20と5で25」
- 「30と10で40」
このように、「10のまとまりがいくつあるか」と、その端数を組み合わせる形で数を捉える練習を繰り返します。
最終的には、「100までの数」を「10のまとまりがいくつ」と「端数」に分けて考えられるように導いていきます。この方法で、数の大きさや桁の概念が無理なく身につきます。
5・6歳ごろ~|足し算「合わせていくつ、増えるといくつ」
10の数の合成・分解が理解できたら、次のステップとして足し算と引き算に取り組んでみましょう。
100玉そろばんを使うことで、数の増減を視覚的に理解しやすくなり、計算の基礎を無理なく学ぶことができます。
足し算の学びを始めるには、「増えた数を合わせる」感覚を体験させることが大切です。
例えば、「2+3」の場合、
- すべての玉を右側に寄せます。
- 最初に2つの玉を左に動かし、その後さらに3つの玉を動かします。
- 左側に動かした全体の玉を一緒に数え、「2と3を合わせて5」と声に出して確認します。
これを繰り返すことで、具体物を通じて足し算の基本を身につけ、やがて頭の中でイメージできるようになります。
5・6歳ごろ~|引き算「残りはいくつ、違いはいくつ」
引き算は、「残りの数」や「差」を考える練習です。例えば、「5-2」の場合は、まず5つの玉を左に寄せ、そのうち2つを右に戻します。残った3つを数えながら、「5から2を引くと3」と理解させます。
理解が難しいようであれば、ストーリー仕立てで計算する方法がおすすめ。
例えば、こんな風にお話をしながら進めてみましょう。
みかんが7個あります。3個食べたら、残りはいくつかな?
鳥が7羽います。3羽飛んで行ったら、残りは何羽かな?
お子さんは、そろばんの玉を7個左側に動かし、そのうち3個を右に戻して「残り4個」と答えます。
このように、「減った分」と「残った数」を100玉そろばんで視覚的に確認することで、数の減少を具体的に理解できるようになります。
差を比べる
次に、2つの数量を比べて「差」を求める練習を取り入れてみましょう。例えば、
みかんは8個、いちごは10個あります。どちらが多い? 違いはいくつかな?
1列目にみかんの8個分の玉を、2列目にいちごの10個分の玉を並べます。
すると、2列目の10個の玉が1列目の8個の玉より2個多いことが見えてきます。この「余っている2個」が、数の違い(差)です。
「差(違い)」という概念は目に見えない抽象的なものであるため、幼児にとっては難しい場合があります。このようなとき、100玉そろばんを使うことで、視覚的に「差」を確認しやすくなります。
練習を重ねることで、計算への理解が深まり、入学後の算数学習にスムーズに移行できるでしょう。
6歳ごろ~|繰り上がり・繰り下がり
<追記をお待ちください>
100玉そろばんの使い方まとめ
小学校に上がり、「数」という抽象的な概念を本格的に学び始める前に、100玉そろばんのような具体物を使って量感を伴いながら数に親しむことは、とても効果的です。
視覚や触覚を通じて数を理解することで、算数への抵抗感を減らし、学びの土台を築くことができますよ。
さらに、100玉そろばんは小学校入学後も、計算の補助や数の構造理解を深めるための道具として、長く活用することができます。
具体物からスタートし、少しずつ抽象的な思考へと移行できるよう、親子で楽しみながら取り組んでみてくださいね。
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