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フレーベルの恩物とは子どもの可能性を引き出す知育玩具のルーツ!詳しい遊び方を紹介

フレーベルの恩物とは子どもの可能性を引き出す知育玩具のルーツ。詳しい遊び方を紹介

ドイツの教育学者フリードリヒ・フレーベル(1782年~1852年)は、世界で初めて幼稚園を創った人物として知られています。そして、フレーベル幼稚園で使われる特別な教材が「恩物」です。

ドイツ語で「Spiel Gabe」と呼ばれるこのおもちゃは、「神様の贈り物」という意味を持ち、日本では「恩物(おんぶつ)」と訳されています。

シンプルな形をした木製のブロックや球体などからなる恩物は、単なるおもちゃではありません。子どもの五感を刺激し、創造性を育み、そして無限の可能性を引き出すための、まさに「贈り物」なのです。

この記事では、そんな魅力あふれる恩物について、実際に家庭教育に取り入れている筆者が深掘りしていきます。

ちゃみ

フレーベルの教育理念から、恩物の遊び方、そして知育にどのように活かせるのかまで、わかりやすく解説しますね。

お子さんの成長に役立てたい方、教育に興味のある方も。ぜひ最後まで読んでみてください。恩物の持つ可能性に、きっと驚かれるはずです。

フレーベル教育の思想や入門書について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

この記事の執筆者・監修者
ちゃみノーマルアイコン
ちゃみ

ちゃみ( インスタ @charmytoko

Instagramフォロワー11.2万人。

知育・おもちゃクリエイターママで、モンテッソーリ教具本にも知識を提供。教材研究が得意。年中娘は偏差値70。

ベネッセ幼児教材公式アンバサダー明治クラフトアンバサダーYahoo!をはじめとする各種メディアで執筆中元教師

目次

フレーベルの恩物とは?(概要)

この章では、恩物の概要を紹介していきます。

恩物を簡単にいうと
  • フレーベルが考案した教育玩具
  • シンプルな形をした球体や立方体などから構成される
  • 基準となる寸法「基尺」がある

ドイツ人のフレーベル(1782~1852)は世界で最初の幼稚園を創設し、遊びによって子どもの可能性が開かれるとする幼児教育を考えた人物。

当時の大人たちが幼児の本質を理解せず、厳しくしつけたり、初期に読み書きや計算を教え込んだりしている様子にフレーベルは疑問を抱きました。この状況に対し、幼児教育の抜本的な改革に乗り出します。

フレーベルは、幼児が夢中になって遊んでいる姿の中に、無限の可能性や創造性が秘められていると気づきました。

彼は、幼児の潜在能力を引き出し育むための手段として、教育的な遊具を考案します。

こうして生まれたのが「恩物」と呼ばれる教育遊具であり、幼児が遊びながら学び、成長できる環境を提供するものでした。

ちゃみ

まさに遊びを通して子どもたちが色々なことを学んでいく、という考え方の走りですね!

恩物の構成

フレーベルの恩物は、第一恩物から第二十恩物まで、20種類もの多様な教材で構成されています。

分解恩物(第一恩物~第十恩物)

スクロールできます
第一恩物毛糸の球(6色)
第二恩物木製の球、円柱、立方体×2、枠、棒
第三恩物木製の立方体×8
第四恩物木製の直方体×8
第五恩物木製の立方体×21、大三角柱×6、小三角柱×12
第六恩物木製の直方体×18、受け×12、柱×6
第七恩物色板(正方形・円×8、直角二等辺三角形・直角不等辺三角形・正三角形・鈍角二等辺三角形・半円×16)
第八恩物棒(3cm・6cm・9cm・12cm・15cm×32)
第九恩物金属の環
第十恩物
恩物の種類

総合恩物(第十一恩物~第二十恩物)

スクロールできます
第十一恩物穴を開ける
第十二恩物縫う
第十三恩物描く
第十四恩物組む、編む、織る
第十五恩物紙を折る
第十六恩物紙を切る、貼る
第十七恩物豆細工
第十八恩物厚紙細工
第十九恩物砂遊び
第二十恩物粘土遊び
恩物の種類
ちいくまちゃん

いっぱいあるんだね~!

これらの恩物は、子どもの発達段階に合わせて、大きく「分解恩物」と「総合恩物」の2つに分けられます。

分解恩物(第一恩物~第十恩物)

第一恩物毛糸の球(6色)
第一恩物
第二恩物木製の球、円柱、立方体×2、枠、棒
第二恩物
※類似品:童具館のキューブダンシング
フレーベルの恩物No.3の立方体
第三恩物
第四恩物木製の直方体×8
第四恩物
第七恩物~第十恩物
第七恩物~第十恩物

幼児期に主に使用される分解恩物は、シンプルな形をした球体や立方体などから構成されています。

形や色、質感などを五感で感じながら遊べるつくりとなっているのが特徴。

例えば、球体を転がしてみたり、立方体を積み重ねてみたりするなど、シンプルな遊びを通して、形や空間に対する感覚を養っていきます。

総合恩物(第十一恩物~第二十恩物)

児童期になると、総合恩物に挑戦します。

総合恩物は第十一恩物の「穴開け」から始まって、手芸や工作につながる要素が出てくるのが特徴。

分解恩物で培った感覚を基に、自分だけの世界を作り出すことができます。例えば、動物や建物、乗り物など、想像力を駆使して様々なものを表現して遊ぶのです。

最後の粘土は縦横斜めとあらゆる方向に連続するものなので、恩物のしめくくりとして深い意味がありますね。

▼モンテッソーリ教育で取り入れられている、紙を編んで作る「ハートバッグ」や、針と糸を使って台紙を縫っていく「ぬいさし」などもおすすめの工作活動です。

フレーベルの恩物の特徴

フレーベルの恩物の特徴として、押さえておきたいポイントが4つあります。

  • 球から始まる、形の探求
  • 赤・黄・青・緑・紫・橙の6色(3原色3補色)
  • 基準となる寸法「基尺」がある
  • 発達段階に応じた遊びができる

①球から始まる、形の探求

第二恩物の球を回しているところ
第二恩物の球

恩物の1つ目の特徴としては、「」というシンプルな形から始まり、形が発展していく点にあります。

フレーベルは、「球」こそが、すべての形の根源であると考えました。

球は完全な形であり、万物の肖像であり、すべてのものの似姿であること、幼児期から青年期にかけてボールというものが魅力に富んだもので変わらぬ引力があることから、初めて出会う遊具として「球」を選んだのです。

ちいくまちゃん

まるいものって、赤ちゃんも好きなかたちだよね~。

▼赤ちゃんの我が子に作った「ゴビモビール」を思い出しました!

手作りゴビモビールの完成図 Gobbi Mobile
隙間なく巻けたゴビモビールの玉2

そして、球から円柱、立方体へと形を分解し、さらに面、直線、曲線、点へと細分化していくことで、形の多様性や構成要素を自然と学ぶことができるように作られています。

②赤・黄・青・緑・紫・橙の6色(3原色3補色)

赤・黄・青・緑・紫・橙の6色(3原色3補色)の恩物

恩物の色は、赤・黄・青・緑・紫・橙の6色(3原色3補色)を基本としています。

第七恩物は、赤・黄・青・緑・紫・橙の6色と、白と黒の8色になっています。

フレーベル自身は色彩理論を語っていませんが、魅力と子どもにとっての適正からこの色を選択したようです。

③基準となる寸法「基尺」

各恩物の大きさは、基尺と呼ばれる3cmに統一されています。

基尺が同じな恩物2
基尺が同じな恩物
基尺が同じな恩物
フレーベルの恩物を組み合わせた様子
第五恩物の積み木に乗せた色板

基尺はよく積み木の設計で出てくるのですが、とても重要な要素なんです。

基尺が正確に統一されていると、積み重ねた際に高さが揃い、三角柱などの特殊な形状を除いて、さまざまな形に積んでも安定します。

▼1cmのちがいでずれが生じてきます▼

積み木の基尺の比較
積み木の基尺の比較

基尺が異なると、積み木を積み重ねるたびにわずかなずれが生じ、きっちり積んでいるにもかかわらず不安定になり、崩れてしまう可能性があります。また、このずれによって積み木同士の「関係性」が見出せなくなってしまいます。

フレーベルの恩物では、基尺として3cmを用いており、これが一貫した高さの基準となっています。

異なる種類の恩物を組み合わせてもしっくり来ますし、より複雑な形や空間を創造することができるようになるんですよ。

④発達段階に応じた遊びができる

第三恩物で作った教会

それぞれの恩物は、発達段階に応じた遊びができるのも特徴です。

例えば、立方体を積む遊びでは、成長するにつれて大物を作れるようになります。

別の恩物と組み合わせてもOK。前の形の体験を発展させて、次の形の活動につながる楽しさを感じられます。

フレーベルの恩物で構成遊び2

恩物の種類とねらい・遊び方

ここからは、それぞれの恩物の特徴や具体的な遊び方について、さらに詳しく見ていきましょう。

第一恩物「毛糸球」のねらい・遊び方

第一恩物毛糸の球(6色)
第一恩物毛糸の球(6色)

第一恩物:赤ちゃんの世界を広げる、最初の贈り物

フレーベルの恩物の中でも、特別な意味を持つのが第一恩物です。赤ちゃんの最初の遊び相手として、そして形の世界への入り口として設計された、まさに「贈り物」のような存在なのです。

第一恩物には、赤、橙、黄、緑、青、紫の6個の毛糸球が含まれています。

前章で球を与える理由としてすべての形の根源であることやボール遊びが魅力的であることを挙げましたが、そのほかにも赤ちゃんにとって良いポイントがあります。

球が赤ちゃんに向いている理由
  • 安心感
    球は鋭角がなく、柔らかい印象で、まだ未熟な赤ちゃんでも心地よい触覚体験ができます。
  • 動き
    球は転がったり、投げたりと、様々な動きをします。この動きが、赤ちゃんの好奇心を刺激し、積極的に物に触れようとする意欲を引き出します。
  • 無限の可能性
    球は始まりも終わりもない、無限の象徴です。赤ちゃんの無限の可能性を象徴し、未来への期待を込めた贈り物をという意味があるそうです。

第一恩物の主なねらい

  • 球の性質(丸い、角がない、転がるなど)を知る
  • 美的感覚を養う
    均整の取れた美しい形である球に接したり鮮やかな色に触れることで、視覚を刺激し美しい感情を育みます。
  • 自発的な運動を促す
    球体を追いかけたり、掴んだりすることで、手足の運動能力を育みます。
  • 社会性の基礎を養う
    自分と遊んでくれる保護者を意識するようになります。

第一恩物の年齢に応じた遊び方

乳児期ベッドに吊るしたり、目の前で追視させたり、手で触れさせたりすることで、視覚と触覚を刺激します。
幼児期球体を転がしたり、模倣したりする遊びを通して、運動能力と位置関係を養います。
幼児後期色や数に注目し、簡単なゲームを楽しむことができます。
第一恩物のニットボール

第一恩物まとめ

第一恩物は、単なるおもちゃではありません。それは、赤ちゃんとの最初のコミュニケーションツールであり、世界への探求心を育むための大切な一歩なのです。

第一恩物を通して、赤ちゃんは

  • 五感を刺激される
  • 運動能力が育つ
  • 認知能力が向上する

といった様々な効果を得ることができます。

第一恩物は、赤ちゃんの成長を優しく見守りサポートしてくれる、まさに「贈り物」と言えるでしょう。

このシンプルな球体の中に、子どもの無限の可能性が秘められているのです。

第二恩物(三体)のねらい・遊び方

第二恩物木製の球、円柱、立方体×2、枠、棒
第二恩物
※類似品:童具館のキューブダンシング

第二恩物:形の世界を広げる、3つの立体との出会い

第一恩物で「球」というシンプルな形に触れたあとは、第二恩物でさらに形の多様性を学びます。

第二恩物の最大の特徴は、球、円柱、立方体という3つの基本的な立体を比較することで、それぞれの形の特徴を捉えさせるところにあります。

第一恩物でもお馴染みの球体は、丸くて転がる、かろやかな印象を与えます。
円柱球体と立方体の両方の特徴を持ち合わせたのが円柱ですが、新しく縁(曲線)があります。
立方体すべて平らでまっすぐな縁、角があり、形がはっきりしています。

これらの形を触ったり、回転させたり、積み重ねたりしながら、それぞれの形が持つ特徴や違いを体感します。

例えば、球は転がるけど立方体は転がらない、円柱は側面は丸くて転がるけど、上下は平らだから安定している、など、様々な発見ができるんです。

第二恩物の主なねらい

  • 形の認識
    球、円柱、立方体の3つの基本的な形を認識します。また、その違いを理解します。
  • 第一恩物との比較
    第二恩物は、第一恩物の球体との比較を通して、形の概念をより深く理解することができます。
    第一恩物の球体が柔らかい素材で作られているのに対し、第二恩物は木製のものが一般的。同じ形でも材質によって触り心地が異なることを学びます。

第二恩物の遊び方

代表的な遊び方としては、回転遊びがあります。

第二恩物の立方体を糸で吊るしたり、棒にさしたりして回転させると、不思議な現象が起こります。立方体が別の立体のように見えるんです。

この発見が探究心を刺激し、形の多様性に対する興味を深めます。

童具館のキューブダンシングを回した例

第二恩物の立方体
第二恩物の立方体を回した様子
童具館のキューブダンシングを設置した様子
童具館のキューブダンシングを回しているところ

第二恩物まとめ

第二恩物は、形の多様性に対する興味を育むための重要な段階。

シンプルな3つの形から始まる第二恩物の世界は、子どもの探究心を刺激し、無限の可能性を広げていきますよ。

第三恩物のねらい・遊び方

フレーベルの第三恩物(フレーベル館)

第三恩物:立方体を分解して発見する、形の秘密

第二恩物で立方体と出会ったあとは、第三恩物でさらに立方体の奥深さを探求します。

第三恩物の最大の特徴は、一つの大きな立方体を8つの小さな立方体に分解すること。

8個の立方体があるのではなく、1個の立方体が分解されて8個になるという提示の仕方をします。

たった1つ足りなくても全体はもとの形には戻りません。

この分解の過程で全体と部分の関係、形が変化すること、空間を構成する要素など、様々なことを学びます。

第三恩物の主なねらい

  • 分解と統合
    大きな立方体を小さな立方体に分解し、再び組み立てることで、分解と統合という概念を理解します。
  • 部分と全体
    大きな立方体が、8つの小さな立方体からできていることを理解することで、部分と全体の関係を学びます。
  • 空間認識
    小さな立方体を組み合わせて様々な形を作ることによって、空間認識能力を養います。
統合
スクロールできます
フレーベルの第三恩物の分解
分解
フレーベルの第三恩物の分解の2段階
分解
フレーベルの第三恩物の分解の3段階
分解

第三恩物の遊び方

基本は形作りとパターン作りです。

小さな立方体を組み合わせて、様々な形を作ります。積み重ねたり、並べたり、積み木のように使ったりと、自由な発想で遊びます。

第三恩物の遊び方の形作りで作った立方体のベッド
形作り
第三恩物の遊び方のパターン作りで作った立方体のパターン
パターン作り

また、立方体を並べて、模様やパターンを作っても遊べます。

第三恩物まとめ

第三恩物は、形を分解し組み立てるという体験を通して、全体と部分の関係、形が変化すること、空間を構成する要素を知り、空間認識能力や創造性を育みます。

小さな立方体一つ一つが、子どもたちの無限の可能性を象徴しているかのようですね。

<第三恩物・第四恩物の遊び方をさらに詳しく解説した記事UP予定>

第四恩物のねらい・遊び方

第四恩物木製の直方体×8

第四恩物:直方体で学ぶ、形の多様性と空間の概念

第二恩物で学んだ立方体と、第三恩物で得た分解の経験を基に、第四恩物では直方体という新しい形が登場します。

立方体を二等分、四等分することで生まれる直方体は、立方体とは異なる特徴を持っています。

第四恩物の主なねらい

  • 面の大きさを学ぶ
    直方体の面の大きさ、縁の長さは、立方体と異なり、大きい、小さい、長い、短いというような比較をすることが主題となります。
  • 大きさの比較
    異なる大きさの面を比較し、大きい、小さいを学びます。
  • 長さの比較
    縁の長さを比較し、長い、短いを学びます。
  • 空間の構成力を養う
    直方体は並べ方、積み方で、長く、高く、短く、低くと変わるもの。組み合わせて様々な形を作ることによって、空間認識能力を養います。
フレーベルの第四恩物の統合
統合
スクロールできます
フレーベルの第四恩物の分解の2段階
分解
フレーベルの第四恩物の分解の3段階
フレーベルの第四恩物の分解の4段階
フレーベルの第四恩物の分解の5段階

第四恩物の遊び方

第三恩物と同様に、形作り、パターン作りをして遊びます。

直方体の特性を活かして、高い建物や橋を作る積み木遊びもおすすめです。

フレーベルの第四恩物で作ったテーブルセット
形作り
フレーベルの第四恩物で作った模様
パターン作り
第四恩物の遊び方パターン作り2
第四恩物の遊び方パターン作り

第四恩物まとめ

第四恩物は、大きさや長さの比較、分類など、数学的な思考力と創造性を育むための重要な教材。

直方体というシンプルな形から、子どもたちは無限の可能性を発見していくでしょう。

<第三恩物・第四恩物の遊び方をさらに詳しく解説した記事UP予定>

第五恩物のねらい・遊び方

フレーベル館の教育教具 第五恩物(積木)
出典:フレーベル館Amazon公式ショップ

第五恩物:三角柱が拓く、創造性の扉

第三恩物で立方体を分解し、第四恩物で直方体と出会ったあとは、第五恩物でさらに形の可能性を広げます。

第五恩物では三角柱という新しい形が登場し、創造性を刺激します。

第五恩物の主なねらい

フレーベル館の教育教具 第五恩物(積木)2
出典:フレーベル館Amazon公式ショップ
  • 新しい形の発見
    三角柱は、五つの面を持つ五面体という新しい形の概念を教えます。
  • 奇数の概念を知る
    三角柱は五面体。5は奇数なので、奇数を知らせることにもなります。また三層ということも、39個という奇数個を数えることになります。奇数の概念を自然に学ぶことができます。
  • 対称性を知る
    三角柱の対称性を見つけることで、対称性の概念を理解します。
  • 立方体と三角柱の比較
    第五恩物では、立方体と三角柱を比較することで、形の多様性や共通点を見つけることができます。
  • 立方体との比較
    立方体と、大三角柱と小三角柱の比較をします。半分、また半分、2つで同じ大きさ、2つで同じ形になります。面と面を合わせて面の大きさも比較します。
  • 組み合わせを楽しむ
    立方体と三角柱を組み合わせて、様々な形を作ることができます。

第五恩物の遊び方

基本は形作りとパターン作りです。

三角柱と立方体を組み合わせて、動物や建物、乗り物など、様々な形を作ります。

また、三角柱と立方体を交互に並べて、美しい模様を作ります。

第五恩物まとめ

第五恩物に新たに加わる三角柱は、立方体や直方体とは異なる特徴を持っています。

立方体や直方体との組み合わせによって、無限の可能性が広がる第五恩物は、子どもの学びをさらに豊かにします。

第六恩物のねらい・遊び方

フレーベル館の教育教具 第六恩物(積木)
出典:フレーベル館Amazon公式ショップ

第六恩物:建築の世界へようこそ!

第六恩物の最大の特徴は、「柱」と「受け」という新しい要素が加わることです。これらを用いることで、より複雑で立体的な構造物を作り上げることができます。

第六恩物の主なねらい

フレーベル館の教育教具 第六恩物(積木)2
出典:フレーベル館Amazon公式ショップ
  • 柱と受けの役割を知る
    柱は建物を支える役割を果たし、受けは柱を固定する役割を果たします。
  • 3の倍数を知る
    第六恩物の積木の数はすべて3の倍数という特徴があり、数に対する興味を深めます。
  • 建築体験
    柱と受けを用いて、家、橋、塔など、様々な建築物を作り上げることで、建築の基礎を学びます。

第六恩物の遊び方

これまでの恩物では、パターン遊びで主に平面的な形を作ることが中心でしたが、第六恩物では立体的な構造物を組み立てることに重点が置かれます。

柱と受けを用いることで、より安定した、そしてより複雑な構造物を作り上げることができるのです。

第六恩物まとめ

第六恩物は、建築遊びという新しい世界への扉を開きます。

柱と受けを用いて、より複雑で立体的な構造物を作り上げることで、空間認識能力や問題解決能力を養い、創造性を育みます。

ちゃみ

単なる積み木遊びのようですが、プチ「建築セット」と言ったところでしょうか。

第七恩物のねらい・遊び方

第七恩物の色板(正方形・円×8、直角二等辺三角形・直角不等辺三角形・正三角形・鈍角二等辺三角形・半円×16)が入ったセット

第七恩物:まさに創造力を育む色と形の宝箱!

第七恩物は、正方形や三角形、円など、様々な形の色板で構成されています。

形は正方形と四種類の三角形、円、半円の7種類。色はそれぞれ表と裏に施され、第一恩物の色と同じ、赤・黄・青・緑・紫・橙の6色と、白と黒の8色になっています。

第七恩物の色板(正方形・円×8、直角二等辺三角形・直角不等辺三角形・正三角形・鈍角二等辺三角形・半円×16)

これらの色板を組み合わせて、美しい模様を作ることができます。

第七恩物の主なねらい

  • 組み合わせを楽しむ
    色板を組み合わせて、無限の模様を作ることができます。自由度が大きいことを知ります。
  • 美的感覚を育む
    色の調和、対称性、パターンなど、組み合わせによって美しい模様ができることを学びます。
  • 順列遊び(色の順列・形の順列)
  • 集合遊び(色の集合・形の集合)

第七恩物の遊び方

恩物遊びの本にあるような図案通りに作るほか、自由に模様作りを楽しみます。

第七恩物の色板で作った船
第七恩物の色板で作った船

第七恩物まとめ

第七恩物は、色と形の美しさを教え、創造性を育むための重要な教材です。色板を自由に組み合わせて、自分だけの作品を作り出す喜びは、子どもの心を豊かにします。

第八恩物のねらい・遊び方

第八恩物の棒(3cm・6cm・9cm・12cm・15cm×32)が入ったセット

第八恩物:線で表現する喜び

第八恩物は、5種類の長さの棒で構成されています(規格:3cm、6cm、9cm、12cm、15cm)。

これらの棒を使って、線で様々なものを表現し、創造力を育みます。

第八恩物の棒(3cm・6cm・9cm・12cm・15cm×32)

第八恩物の主なねらい

  • 図形の構成
    棒を組み合わせて、様々な図形を作ります。
  • 組み合わせを楽しむ
    棒を自由に組み合わせて、無限の模様や形を作ることができます。
  • 長さの多様性を知る
    3cmの倍数の長さの棒が用意されており、長さの概念を学ぶことができます。
  • 線の表現力を知る
    線は、物体の輪郭だけでなく印象も表現することができます。
  • 数学的思考を養う
    棒を数えたり、棒の長さや数を他の恩物と比較して数学的思考を養います。

第八恩物の遊び方

恩物遊びの本にあるような図案通りに作るほか、自由に模様作りを楽しみます。

第八恩物の線で作った家

第八恩物まとめ

第八恩物は、線というシンプルな要素を用いて創造性を刺激し、表現力を豊かにします。

棒の長さや数を比較し、論理的に考える力も養うことができるため、知的好奇心を満たす教材としても最適です。

第九恩物のねらい・遊び方

第九恩物の金属の環

第九恩物:曲線の魅力を発見

第九恩物は、大、中、小の3種類の環と、それぞれの半輪3種で構成されています。

これらの環を使って、直線とは異なる、滑らかな曲線の表現を体験できます。

第九恩物の主なねらい

  • 図形の構成
    環を組み合わせて、様々な図形を作ります。
  • 曲線の多様性を知る
    大きな環、小さな環、半円など様々な形の環が用意されているので、曲線の多様性を学ぶことができます。
  • 有機的な表現を学ぶ
    曲線は、自然物や生き物の形を表現するのに適している形。より有機的で豊かな表現を可能にします。
  • 組み合わせを楽しむ
    環を自由に組み合わせて、無限の模様や形を作ることができます。
  • 大、中、小の比較
  • 対称性を学ぶ
    環を対称に並べることで、対称性の概念を理解します。

第九恩物の遊び方

恩物遊びの本にあるような図案通りに作るほか、自由に模様作りを楽しみます。

第九恩物の環で作る花の絵
第九恩物の環で作る虫の絵
第九恩物の金属の環で作った顔

第九恩物まとめ

第九恩物は、直線とは異なる曲線の魅力を発見し、表現力をさらに広げるための教材です。

環の滑らかな曲線は、想像力を刺激し、無限の可能性を生み出します。

第十恩物のねらい・遊び方

第十恩物:点から始まる世界

第十恩物:点から始まる世界

第九恩物までで、線や曲線を使って様々な形を創造してきました。

第十恩物は、小さな粒で構成されています。この粒は、何もない空間における位置を表しています。

第十恩物の主なねらい

第十恩物の主なねらいは、点の力(集合の力)を学ぶこと。

点は、一見何もないように思えますが、集まることで線や面を作り出し、様々な形を生み出す力を持っています。

第十恩物の点の力(集合の力)
  • 線の概念
    2つの点を結ぶことで、線が生まれることを学びます。
  • 面の概念
    3つ以上の点を結ぶことで、面が生まれることを学びます。
  • 形の変化
    点の位置を移動させることで、形が変化することを学びます。

第十恩物の遊び方

はじめの1点を好きなように選び、次の1点をまた好きなところに示します。

そして、その間を多くの点でうめると直線になることを知らせます。同じようにして、点は3点以上で、面をつくることを知らせます。

点を選ぶ
その間を多くの点でうめると直線になる

その後、自由な発想で様々な作品を作ってみましょう。

第十恩物まとめ

第十恩物は、点という最もシンプルな要素から始まり、それがどのように線や面、そして形へと繋がっていくのかを学びます。

点の配置ひとつで、無限の可能性が広がるのが面白いですよね。

第十恩物で学んだ点の概念を活かして、他の恩物と組み合わせて、より複雑で美しい作品を作ってみましょう。

フレーベルの恩物で遊んだ有名人

フランク・ロイド・ライト(Frank Lloyd Wright、1867年6月8日~1959年4月9日)

フランク・ロイド・ライト
出典:フランク・ロイド・ライト – Wikipedia

フランク・ロイド・ライトはご存じの方も多いと思いますが、アメリカの建築家。幼少期から建築家としての素養を育んだ稀有な例として知られています。

ライトは1867年6月8日、ウィスコンシン州リッチモンドセンターで生まれました。 彼の父ウィリアム・キャリー・ライトは牧師であり、優秀なピアノ演奏家でもありました。幼少期、ライト一家は父親の教区に渡り、様々な土地を転々とし、1878年にウィスコンシン州マディソンに定住します。

父の影響を受けたライトも生涯ピアノ演奏を続けましたが、教育熱心な母アンナは、ライトが生まれる前から彼を建築家として育てたいと考えており、その一環としてフレーベルの恩物を彼に与えました。

アンナは部屋の床に約1メートル四方の碁盤目状の線を描き、その上で積み木や厚紙で作られた四角形(立方体)、円形(球体)、三角形(四面体や三角錐)などを組み合わせさせたり、天井から吊り下げて眺めたりする遊びをさせました。

これらの遊びを通して、ライトは形や空間に対する感性を鋭く磨いていきます。

ライトは後年、このように語っています。

The circle represented infinity, the triangle structural unity, and the square integrity.  

設計パターンデザインとして、「円は無限を、三角形は構造にとって最も大切な統一性を、四角は完全を表している。」

これらの形態が立体である三次元になった時に設計イメージが湧いてきて、私の遊び相手にもなってくれる、と続きます。

クーンレイ・プレイハウス  by フランク・ロイド・ライト
ライトデザインのステンドグラス:キンダー・シンフォニー(kinder symphony)
ちゃみ

フレーベルの恩物との出会いは、ライトの建築家としての才能を開花させる上でとても重要な役割を果たしたと言えますね。

ちなみに、自由学園生活工芸研究所から「学園積み木」が販売されています(ライトは自由学園明日館を設計)。

自由学園生活工芸研究所のおもちゃは皇室御用達で品質が良いので、ぜひチェックしてみてください。我が家もコルク積み木を持っています。

自由学園コルク積み木のセット
自由学園コルク積み木
自由学園コルク積み木のセットで作ったケーキ
自由学園コルク積み木で遊んだ例

フレーベルの恩物的なおもちゃ

いきなりご家庭で恩物を使うのは、少しハードルが高いかも……と思う方もいらっしゃるかもしれません。

でも、ご安心ください。フレーベルの恩物を参考に作られた、ご家庭でも安心して使えるおもちゃがたくさんあります。

  • フレーベル積み木(デュシマ)
  • モザイクブロック
  • ジーナ社のおもちゃ
  • 童具館の「童具」
  • フリドリン社のおもちゃ

フレーベル積み木(デュシマ)

フレーベル積み木は、ドイツのデュシマ社がフレーベルの教育理念に基づいて作り上げた積み木です。

長年の実績と信頼があり、世界中で愛されています。

モザイクブロック

木目を感じられる、あたたかみのある色合いのブロックです。

ひし形、またはひし形と三角形というシンプルな形ですが、組み合わせることで様々なものを作れます。

ジーナ社の「ジーナモザイク」「モザイククァルテット」、デュシマ社の「フレーベルモザイク」が有名です。

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ジーナ社のおもちゃ

ドイツ・ジーナ社のおもちゃは、フレーベル教育者と協力して開発されています。

第一恩物~第六恩物を忠実に再現した商品のほか、フレーベルの教育理念を取り入れたオリジナルおもちゃもあります。

おもちゃは第一恩物の6色に基づいたカラーを採用しているのが特徴で、恩物が決まったカラーなのに対し、ジーナ社のおもちゃはいずれもカラフルな仕様になっています。

Legematerial nach Fröbel – Sina Spielzeug GmbH >>
※ドイツ語、フレーベルの教育理念に従って作られたおもちゃの一覧

ジーナリングやジーナモザイクのように、いくつか日本で購入できるものもあります。

▼愛子様も遊ばれた音の鳴る積み木ジーナ社「ベビーキューブ」も要チェック!

童具館の「童具」

童具館の「童具」も、フレーベルの教育理念を取り入れたおもちゃです。

見ていただくとわかるのですが、恩物と同じように球体から発展する幾何学的な形を特徴としています。

積み木・木のおもちゃ・童具館 >>

フリドリン社のおもちゃ

保育施設などの壁によく取り付けられている、フリドリン社のおもちゃ。

ジーナ社と同じく、第一恩物の6色に基づいたカラーを採用しているのが特徴です。

Produkte – FRIDLIN >>
※ドイツ語、フレーベルの教育理念に従って作られたおもちゃの一覧

フレーベルの恩物の遊び方を深く知る本・参考書

フレーベルの恩物の遊び方を深く知る本・参考書をご紹介します。

残念ながら、日本でフレーベルの恩物の遊び方を体系的に解説した最新の書籍は多くありません……。

ですが、以下の本や資料を参考にすると、より深く恩物の世界を探求できますよ。

本屋さんにない場合は、図書館で調べてみてください。近隣の図書館にあれば、取り寄せもしてくれるはずです。

『フレーベルの恩物であそぼう』

著:フレーベル館
出版:2000年
サイズ:127ページ・ソフトカバー

1955年刊『フレーベルの恩物の理論とその実際』の改題改訂で、保育の実践書としても使われるロングセラーです。

恩物の遊び方の一例を紹介するほか、恩物20種類の相互関連表を収録しています。

編集:玉成恩物研究会
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『フレーベルの教育遊具 – 絵で見る恩物』

著:佐々木正寛
出版:1987年 / わらべ
サイズ:26×18.5cm・230ページ・ソフトカバー

恩物の起源や理念、具体的な遊び方を解説しています。

提示方法がシンプルなイラストでわかりやすく、第一恩物だけでみても40ページ上にわたって活用方法を載せてくれているので、じっくりおうちで取り組みたい方にピッタリ。

恩物の背景や目的を深く理解するためにも適した一冊です。

フレーベルの恩物まとめ

フレーベルの恩物は、まさに子どもの心を育むための宝箱。シンプルな形の中に、世界が凝縮されているかのようです。

遊びを通して、形や色を認識したり、空間を把握したり、創造力を育んだり。子どもの成長をサポートしてくれる、まさに一石二鳥の教材と言えるますね。

大人も一緒に遊んでみると、子どもの視点から世界を見る楽しさを再発見できるかもしれません。ご家庭に一つ、恩物を加えてみてはいかがでしょうか。

参考文献:
http://www.steinerag.com/flw/Books/1990-91.htm – Frank Lloyd Wright

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フレーベルの恩物とは子どもの可能性を引き出す知育玩具のルーツ。詳しい遊び方を紹介

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